- 最近スマスロが人気だけど、パチンコ業界全体としてはどうなんだろう?
- 近所のパチンコ店が閉店してしまった。この先どうなるのか不安…
- パチンコ業界のニュースは暗い話が多いけど、本当に未来はないの?
その不安や疑問の背景には、市場規模の数字だけでは見えない参加者の大幅な減少や、店舗数の縮小といった業界の構造的な変化があります。
この記事は、パチンコ業界の市場データや具体的な動向を徹底的に分析し、業界が直面する「厳しい」実態から、規制緩和やスマート遊技機といった技術革新がもたらす変化の兆しまでを網羅的に解説します。
この記事を読めば、パチンコ業界の今と未来、そして10年後を見据えた生き残り戦略まで、あなたが本当に知りたかった情報が手に入り、漠然とした不安を具体的な展望に変えることができるでしょう。
結論からお伝えすると、パチンコ業界の未来は単なる「衰退」ではなく、変革と適応によって新たな可能性を切り開く大きな岐路に立たされているのです。
パチンコ業界の今後はどうなる?まず知るべき市場の現状と「厳しい」実態

パチンコ業界は、大きな転換期を迎えています。市場規模の数字だけを見ると回復の兆しがあるように感じられるかもしれませんが、その内実を詳しく見ると、参加者の減少や店舗数の大幅な縮小といった深刻な課題が浮き彫りになります。
ここでは、データに基づきながら、パチンコ業界が直面する構造的な変化、顧客層の変動、そして経営環境の厳しさについて、より深く掘り下げて解説いたします。
市場規模15.7兆円の裏側:データから読み解くパチンコ業界の構造的変化
パチンコ業界の市場規模が2023年に15.7兆円に達したという報告は、一見すると明るいニュースのように聞こえるかもしれません。しかし、この数字の背景を詳細に分析すると、業界が抱える構造的な変化が見えてきます。
この市場規模の増加は、主にパチスロ部門、とくにスマスロの人気によって牽引されたものです。パチスロの市場規模は7.5兆円と前年から1.7兆円もの増加を達成しました。これは、スマスロの高い出玉性能がユーザーに受け入れられ、1台当たりの売上や粗利が過去20年で最大の上昇率を記録したことによります。たとえば、「スマスロ北斗の拳」のようなヒット機種が登場し、市場の活性化に貢献しました。
一方で、パチンコ部門の市場規模は8.2兆円と、前年比で0.6兆円減少しており、パチスロとは対照的な状況です。そして、より深刻なのは、市場規模の増加とは裏腹に参加人口が大幅に減少している点です。2023年の参加人口は660万人と、過去30年で最低水準を記録しました。市場規模が増加しつつ参加人口が減るという現象は、業界が少数のヘビーユーザーにますます依存する構造へと変化していることを示唆しています。年間平均費用が増加していることも、このマニア化を裏付けていると言えるでしょう。
このように、市場規模15.7兆円という数字は、業界全体の健全な成長を示すものではなく、スマスロという特定の要因と、一部の熱心なファンによって支えられている、いびつな構造を反映していると理解することが重要です。店舗数や遊技機の総台数が依然として減少し続けている現状も踏まえると、手放しには喜べない状況であると考えられます。
参加人口660万人への減少トレンド:深刻化する若者離れと顧客層の二極化
パチンコ業界が直面する大きな課題の一つに、遊技を行う人の数が減り続けている点が挙げられます。2023年には、パチンコの参加人口が660万人となり、前の年から110万人も減少するという衝撃的な結果が報告されました。これは過去30年間で最も少ない数字であり、業界の縮小傾向が加速していることを示しています。
この参加人口の減少は、とくに若年層において顕著です。総務省の統計データや各種調査を参照すると、20代から30代のパチンコ参加率は長期的に見て大幅に低下しています。その背景には、ソーシャルゲームや動画配信サービスといった他の娯楽の多様化、自由に使えるお金や時間の減少、そしてパチンコという遊び自体への興味の薄れなどが挙げられます。スマスロの登場で一時的な話題性はあったものの、メダルに触れない遊技スタイルが、かえって従来のパチンコ・パチスロが持っていた手触り感を求める層や若年層の一部には受け入れられにくい側面もあるようです。
一方で、興味深い現象として、参加人口が大幅に減っているにもかかわらず、一人当たりの年間平均費用は10万9000円と、前の年から2万円以上も増加しています。これは、ライトユーザーが離脱し、熱心なファン、いわゆるヘビーユーザーが業界を支える構造へと変化していることを強く示唆するものです。顧客層の年代別分析では、50代から60代の男性が依然として大きな割合を占めており、この層が高い頻度で比較的多くの金額を費やしていると考えられます。
つまり、パチンコ業界の顧客構造は、時間もお金も比較的自由になる中高年のヘビーユーザーと、他の娯楽に関心が移りつつある若年層やライトユーザーという形で二極化が進行しているのです。ファンを新たに開拓しようという試みは続けられていますが、参加希望率も低下傾向にあり、新規顧客の獲得はますます難しくなっているのが実情と言えるでしょう。この状況は、業界の将来的な持続可能性にとって大きな懸念材料となります。
「厳しい」経営環境の実情:店舗数減少の内訳と大手・中小ホールの体感差
パチンコホールの経営環境は、極めて厳しい状況に置かれています。全国的に店舗数が減少し続けており、その影響はとくに中小規模のホールにおいて深刻です。
警察庁の統計によれば、パチンコホールの店舗数は2020年の9035軒から2022年には7665軒へと、わずか3年間で約2000店舗も姿を消しました。2023年においても約500店舗が閉店し、営業店舗数は7000店を下回る水準にまで落ち込んでいます。シーズリサーチの調査では、2023年に閉店した店舗のうち、設置台数が101台から300台規模の、いわゆる中小ホールの閉店率が14%と最も高くなっていることが明らかになりました。これは、経営体力に乏しい中小ホールほど、現在の厳しい環境変化に対応しきれていないことを示しています。
店舗閉店の主な要因としては、長年にわたる販売不振が挙げられます。帝国データバンクの調査によると、2023年に倒産したパチンコホールの多くが販売不振を理由としており、その中には新型コロナウイルス感染症の影響を受けたケースも少なくありません。さらに、2018年の遊技機規則改正に伴う旧規則機の撤去や新規則機の導入にかかる費用負担も、経営を圧迫する大きな要因となっています。
加えて、スマート遊技機(スマスロやスマパチ)の導入コストも、経営規模による格差を拡大させています。スマスロの遊技台本体価格は高額で、関連ユニットや工事費用を含めると1台あたり100万円を超えることもあります。資金力のある大手チェーンは積極的にスマスロを導入して集客に成功し、業績を向上させている一方で、中小ホールは導入が遅れたり、そもそも導入できなかったりすることで顧客が離れ、さらに苦境に立たされるという二極化が鮮明になっているのです。地域別に見ても、都心部や特定の地方で閉店が集中する傾向があり、地域経済への影響も懸念されます。
今後の見通しとしても、2024年7月からの新紙幣導入に伴う設備改修費用が追い打ちをかける可能性が指摘されており、一部業界関係者からは「2024年が最後のピークになるかもしれない」という声も聞かれるほど、先行きは不透明な状況が続いています。大手ホールによる中小ホールのM&A(合併・買収)も活発化しており、業界再編の動きは今後も加速していくものと考えられます。
「パチンコ業界の今後は終わり?」と言われる構造的課題とネガティブ要因

パチンコ業界が将来的に厳しい状況にある、あるいは「終わり」とまで言われる背景には、深刻な構造的課題と多くのネガティブな要因が存在します。これらは単独で存在するのではなく、相互に影響し合い、業界全体の活力を削いでいると考えられます。
ここでは、その中でもとくに重要な「規制強化の影響」「コスト構造の問題」「業界イメージと人材確保の困難さ」という三つの側面から、現状を詳しく見ていきましょう。
規制強化が経営に与えた複合的影響:広告宣伝・営業時間・既存の依存症対策の現状と課題
パチンコ業界の経営は、複数の規制強化によって深刻な打撃を受けています。広告宣伝、営業時間、依存症対策のいずれもが、収益や運営効率に悪影響を及ぼしています。
広告宣伝のガイドライン改定により、従来の集客手法が次々と封じられました。中小規模ホールの半数はデジタル広告予算を削減しています。加えて、地域ごとに異なる運用基準が足かせとなり、全国展開企業は効率的なプロモーションが困難な状況にあります。LINEによる情報発信が認められた一方、スマートフォン広告は審査の壁が高く、デジタル戦略は思うように進んでいません。
営業時間の規制も収益構造に大きな影響を及ぼしています。深夜勤務者や漁業従事者など特定層の顧客離れも進行しています。さらに、営業終了が23時に集中したことで電力消費が一時的に高騰し、省エネ効果も薄れています。労働面では週休2日制導入によってアルバイト時給は上昇しましたが、シフト削減で月収が減るスタッフも増加しました。時間外労働管理に伴うコスト増も無視できません。
依存症対策も形骸化の懸念があります。自己申告プログラムは手続きの煩雑さや高齢者のデジタル対応力の問題で普及が進んでいません。家族申告については、本人同意が必要なため、法的リスクを避けて導入をためらうホールも多く見られます。さらに、政府によるオンラインカジノ規制が強まる一方で、暗号資産を経由した不透明な資金流入がパチンコホールに波及する懸念もあります。若年層の一部ではオンラインギャンブルからパチンコへ依存先を移す傾向も確認されています。
これらの規制は個別の問題にとどまらず、連鎖的に経営リスクを拡大させています。集客手段の制限、営業時間の短縮、人件費の増加、依存症対策のコストとリスク。これらが重なり合い、業界全体の体力を確実に奪っています。規制強化の本来の目的は理解できるものの、現場の実態と乖離した一律のルールは、持続可能な運営を困難にしているのが現状です。
「やばい」と囁かれるコスト構造:新台導入・設備投資(新紙幣対応含む)の継続的重圧
パチンコ業界が「やばい」と言われる根本的な原因は、異常なまでに重いコスト構造にあります。とくに新台導入と設備投資が、経営を圧迫する最大要因です。
新台1台の価格は40万円から60万円に達し、中古でも25万円以上するケースがあります。スマパチやスマスロ導入時には専用ユニットも必要となり、1台あたりの総額が100万円を超えることもあります。300台規模のホールであれば、初期投資が3億円を超えるのも現実です。月に2回以上の入替を実施すると、年間コストが売上の2割に迫ります。ある地方の小規模ホールでは、スマパチ導入によって月数十万円の減価償却費が発生し、赤字転落に至った事例も報告されています。
2024年7月に発行される新紙幣への対応も、さらなる負担となっています。紙幣識別センサーの交換には数万円、サンド全体では1台あたり20万円超のコストが必要です。300台のホールなら、少なくとも数百万円の追加出費を避けられません。大手企業は数百億円規模の対応を進めていますが、中小ホールでは自己資本の3割以上を費やすところもあり、対応できない場合はICカード決済へ移行せざるを得ません。とはいえ、現金を好む顧客の離反リスクは無視できません。
設備投資の負担は一時的ではなく、長期にわたって経営に重くのしかかります。ある調査では、販売管理費の6割以上が遊技機関連投資で占められており、スマ機導入後はメンテナンス費や人件費も増加傾向です。地方の中小ホールでは、投資負担が売上の2割に達し、継続的な赤字に苦しむ店舗も少なくありません。LED照明での光熱費削減を図っても、初期投資の回収には数年を要し、その間のキャッシュフローは厳しい状態が続きます。
技術革新が逆に経営を圧迫する矛盾も顕著です。遊技履歴管理にブロックチェーンを導入したり、AIによる釘調整を行うシステムは注目を集めていますが、1台あたり数万円から十数万円の初期投資が必要です。費用対効果が出るまでに3年以上かかるという試算もあり、特に資金力に乏しいホールにとって導入は大きなハードルです。今後は生体認証ユニットの追加設置も求められる見込みで、さらなる出費が避けられません。
こうした投資負担が、業界再編の引き金となっています。ホールの閉鎖件数は過去最多を更新し続けており、生き残りを目指すホールは高単価機種への特化や月額定額制、カフェやグッズ販売との併設といった多様な戦略を模索しています。しかし、専門家の多くは、今のままでは設備投資負担が重いホールの半数以上が数年以内に廃業に追い込まれると警告しています。
コスト構造を根本から見直さない限り、どんな戦略を講じても業界の持続可能性を維持するのは難しい状況です。抜本的な改革がなければ、パチンコ業界の衰退は避けられません。
業界イメージと人材確保の難しさ:持続的発展を阻む根深い課題
パチンコ業界の発展を阻んでいる大きな要因に、根深いネガティブイメージと、それに伴う人材確保の困難があります。この2つは密接に関係しており、業界の衰退を内側から加速させる深刻な問題です。
世間一般のパチンコに対する印象は、依然として厳しいままです。2024年の調査では、「パチンコに良い印象を持つ」と答えた人は極めて少なく、全調査項目の中でも最下位という結果でした。とくにパチンコ未経験者からは、「依存症の温床」「反社会的勢力との関係」といった否定的な意見が目立ちます。実際に依存症の知人がいる人は少数にもかかわらず、報道によるイメージが強く影響していることは明らかです。
さらに問題なのは、遊技者自身ですら業界に良い印象を持っていないというデータがあることです。娯楽として楽しみながらも、社会的には「後ろめたい」と感じている人が多く、これが若年層の新規顧客開拓を難しくしています。Z世代の半数以上がパチンコ未経験で、その多くが「ギャンブル的要素に抵抗がある」と答えています。新しい世代との価値観の乖離は、放置すれば取り返しがつかない断絶となります。
このイメージの悪化は、人材採用にも直結しています。パチンコホールの仕事は、立ち仕事や騒音、ストレスの多い接客といった環境の厳しさが敬遠されがちです。営業時間短縮による収入減や、時間外労働の厳格な管理なども加わり、職場としての魅力は年々低下しています。特に地方では早朝から深夜までの営業が続いており、働き手の確保が難しくなっています。
開発部門でも人材不足は深刻です。スマート遊技機やAI活用が進む中、C/C++など専門的なプログラミング技術を持つ人材の確保は急務です。しかし、こうしたスキルは一般的なプログラミング教育とズレがあり、需要に供給が追いついていません。さらに風俗営業法の影響で、外国人労働者の採用が事実上難しいことも、多様な人材確保を阻む壁になっています。
悪循環は明白です。業界の評判が悪ければ若者は寄りつかず、人手不足が加速します。採用コストは上昇し、待遇改善が難しくなり、離職率も高まります。アルバイト時給と最低賃金の差は縮まり、かつてのような給与面での優位性も失われつつあります。技術革新を推進しようにも、それを担う人材が不足しており、導入コストが経営をさらに圧迫するという矛盾も抱えています。
一方で、業界側も改善策を模索しています。売上の一部を社会貢献に充てたり、遊技機の稼働に応じた植林活動など、イメージ改善に向けた取り組みも始まっています。しかし、こうした活動の多くは広く知られておらず、社会的評価の回復にはつながっていません。働き方改革やキャリア形成支援を行う企業もありますが、業界全体に浸透するには時間がかかります。
持続可能な業界を築くためには、まずイメージの刷新が不可欠です。メディアを通じた情報発信、公的資格制度の導入、教育機関との連携による専門人材の育成など、複数の施策を並行して進める必要があります。特にZ世代にとって、パチンコがどのような価値を持つのかを再定義しなければ、若年層との距離は埋まりません。
業界の未来は、単なる経営改善ではなく、社会にどう受け入れられるかという本質的な価値転換にかかっています。ブランドを守る努力なしに、次の世代に支持されることはありません。
2025年が変革の契機?パチンコ業界の今後に影響する規制緩和と技術革新の全貌

2025年のパチンコ業界は、大きな転換点を迎える可能性を秘めています。長年の市場縮小傾向に歯止めをかけるべく、規制緩和の動きが具体化し、同時に技術革新が新たな遊技体験を生み出そうとしています。これらの変化が、今後の業界の動向を大きく左右することは間違いありません。
規制緩和の期待と懸念:何がどう変わる?業界再興への起爆剤となるか
2025年に予定されている規制緩和は、パチンコ業界にとって大きな転換点となる見通しです。とくに注目されているのが、「(LT3.0プラス)」の導入です。
この新基準では、1回の大当たりで獲得できる平均出玉が、現行の3,200個から6,400個に倍増します。導入開始は7月7日が予定されており、スマパチを中心にかつてのMAX機を彷彿とさせる高出玉性能の機種が登場する見込みです。これにより、短時間での出玉期待値が高まり、ライトユーザーや若年層の関心を呼び戻す起爆剤となる可能性があります。すでにメーカー各社は準備を進めており、2025年4月の型式試験適合率は30.6%と前年を上回り、開発ペースの加速が見られます。
ただし、出玉の総量上限である9,600個の引き上げは、特定の条件を満たした場合に限定される設計です。無制限な射幸性の拡大ではなく、遊技機のバリエーションを広げる措置と捉えるべきです。過度な期待が業界全体の方向性を誤らせないよう、冷静な判断が求められます。
パチスロ分野では、「ボーナストリガー(BT)」機の登場が控えています。これは、投入するメダル枚数によってボーナス確率を変化させられる新たな設計で、2024年8月の解釈基準改正により開発が可能になりました。例えば3枚掛けでは確率が1/300であっても、2枚掛けなら1/30といった設計も可能となります。これにより、短時間で気軽に楽しみたい層や、離脱していたスリープユーザーの呼び戻しが期待されます。
とはいえ、BT機の魅力は開発段階の設計力に大きく依存します。試験基準の制約により、過度な射幸性を盛り込むことはできず、結果として単調なゲーム性に留まる懸念もあります。ユーザーの期待を超える体験を創出できるかどうかが、普及の鍵を握ります。
規制緩和は、業界再興への重要な一歩です。しかし、導入機種の性能に偏重すれば、一部プレイヤー層だけを対象とした設計となり、遊技人口の裾野拡大にはつながりません。また、新基準対応機種の導入には多額のコストがかかるため、体力の乏しい中小ホールには重い負担となります。
新たな制度の導入には期待と同時にリスクも伴います。業界が持続的に活性化するためには、過去の反省を踏まえた射幸性管理、ユーザーの多様化に対応した遊技機の設計、中小店舗にも配慮した導入支援体制の整備が欠かせません。
規制緩和はあくまでも「きっかけ」にすぎません。その変化をチャンスとするか、混乱の原因とするかは、業界の対応次第です。適切な運用と戦略的な導入こそが、パチンコ業界の未来を左右する鍵となります。
スマート遊技機(スマパチ)の真価:普及状況と今後の進化、業界への貢献度
スマートパチンコ(スマパチ)は、設置比率を超える収益性と影響力を持ち、パチンコ業界の構造を根本から変えつつあります。2024年12月時点での設置シェアは15%ですが、売上にあたるアウトシェアは24.3%、粗利シェアは27%と大きく上回っており、高収益機種としての存在感を示しています。
とくに注目すべきは、スマパチが若年層の支持を集めている点です。10代から30代のユーザー比率は43.2%で、4円パチンコ全体の26.7%を大きく上回っています。多くの若年層は夜20時以降の短時間プレイを選択しており、時間効率を重視した遊技スタイルが主流となりつつあります。この傾向により、スマパチは従来の「長時間滞在型」から「短時間・高回転型」への変化を牽引していると言えます。
技術面でもスマパチは新たな遊技体験を提供しています。京楽産業が導入した「P-スキップ」機能は、演出のテンポを自分で調整できる仕組みで、従来のような冗長な通常時をスピーディーに進めることが可能です。たとえば、「eシン・ウルトラマン」では、変動時間を最大23%短縮し、初当たりまでの平均時間を約10分削減できたとされ、時間効率を重視するユーザーから高い評価を得ています。
また、AI技術の導入も進行中です。AI model株式会社と三洋物産が連携した「AIミスマリンプロジェクト」は、データ分析を通じてユーザーの好みに合った演出や情報提供を実現しようとしています。ホール運営においても、玉の物理的管理が不要なスマパチは、業務負担の軽減と人件費の抑制につながっており、経営効率を高めるツールとしても注目されています。
今後の展望としては、キャッシュレス化が重要な要素になると見られています。現状の現金決済からスマートデバイスを活用した電子決済へと移行すれば、特にZ世代に対して利便性の高い遊技環境を提供できます。さらに、5G通信の普及に伴い、メタバース空間でのパチンコ体験といった新たなエンタメ展開の可能性も広がっています。
ただし、課題も存在します。P-スキップによるテンポアップが、時間感覚を鈍らせ「気づかないうちに長時間遊技してしまう」といった新たな依存リスクを生む恐れがあります。コンプリート機能で一定の制御はされていますが、技術進化が逆に依存性を高めるリスクには注意が必要です。
また、スマスロ市場は2024年に大きな成長を見せましたが、2025年には競争が激化し、差別化が求められる段階に入ると予想されています。スマート遊技機全体が“高収益前提”で導入される流れのなかで、稼働が伸び悩めばホール経営の圧迫要因となりかねません。
スマパチは、パチンコ業界の未来を形作る象徴的な存在です。高い収益性、若年層の獲得、業務効率化といった利点を活かす一方で、依存症リスクや設備負担といった問題にも真摯に向き合うことが必要です。利便性とエンタメ性を両立させ、社会的責任を果たしながら持続可能な発展を追求していく姿勢が、今後の業界全体の信頼回復と成長を左右する鍵となります。
パチンコ業界の今後は「衰退」だけではない?10年後を見据えた生き残り戦略

パチンコ業界は確かに厳しい局面にありますが、「衰退」だけで片付けられる状況ではありません。10年後を見据えた動きが、すでにいくつも進行しています。変化を拒むのではなく、柔軟に適応しようとする企業努力が、着実に業界の可能性を広げています。
最大の課題は、参加人口の減少と射幸性の規制強化、そして設備投資の負担増です。これらは主に中小ホールの経営を直撃しており、大手チェーンによる寡占化も進行しています。ただし、このような逆風の中でも、業界はあきらめることなく変革に取り組んでいます。
2025年に導入される「ラッキートリガー3.0プラス」や、少ない投資で当たりを引ける「ボーナストリガー機」の登場は、規制の枠内で創意工夫された新たなアプローチです。こうした新機種は、かつてのユーザーを呼び戻し、遊技離れした層への再アプローチとなる可能性を秘めています。
技術革新の恩恵も大きく、スマート遊技機はその象徴です。スマパチの収益性は高く、特に若年層の支持を得ています。演出のテンポを自分でコントロールできる「P-スキップ」機能は、時間効率を重視する現代の遊技スタイルにマッチしています。さらに、AIによる経営分析、キャッシュレス決済の導入なども進み、業界は確実にデジタル化に向けて動いています。
経営戦略の面では、M&Aが加速し、大手による統合が進む一方で、中小ホールも独自路線を模索しています。中古台や低貸し営業を活用し、地域密着型の営業で生き残りを図る店舗も存在します。2024年9月から始まった貯玉再プレー手数料の徴収も、各ホールが新たな収益構造を構築する契機となるでしょう。
もちろん、すべての戦略が成功するわけではありません。新機種導入には高額なコストがかかり、技術の進化は依存症リスクという新たな課題も生みます。規制緩和に対する社会的な目も厳しく、業界には誠実な対応と説明責任が求められます。
鍵となるのは、信頼の再構築です。単なるギャンブルではなく、健全な娯楽としての位置づけを確立できるかが、業界の未来を左右します。そのためにも、依存症対策の強化、透明性のある運営、公的機関や教育機関との連携による人材育成が重要です。
10年後のパチンコ業界は、衰退の延長線上にあるとは限りません。時代の変化に応じた柔軟な戦略と、新しい価値を提供する意志さえあれば、再成長の可能性は十分に残されています。業界全体が変革に前向きである限り、未来はまだ書き換えられるのです。
パチンコ業界の今後を読み解き、ファンとして賢く未来と向き合う
パチンコ業界は現在、大きな転換期に直面しています。2023年の市場規模は15.7兆円に達し、特にスマスロの人気が牽引役となって一見回復基調にあるかのように見えますが、その内実を詳細に見ると、参加人口は過去30年で最低の660万人にまで落ち込み、若者離れとヘビーユーザーへの依存という構造的な課題が浮き彫りになっています。全国のパチンコホール数も大幅に減少し、特に中小規模のホールは新台導入コストの高騰や新紙幣対応といった設備投資の継続的な重圧、さらには広告宣伝や営業時間に関する規制強化の影響を受け、厳しい経営環境に置かれています。
業界が抱える問題は、コスト構造や規制だけに留まらず、根深いネガティブイメージとそれに伴う人材確保の困難さも、持続的な発展を阻む要因となっています。このような状況下で、「パチンコ業界の今後は終わりではないか」という声も聞かれます。
しかし、2025年以降を見据えると、規制緩和の動きが具体化し、技術革新が新たな遊技体験を生み出す可能性も秘めています。「LT3.0プラス」や「ボーナストリガー機」といった新基準機の導入は、出玉性能の向上を通じてライトユーザーや休眠層の呼び戻しが期待される一方、射幸性の管理や導入コストが課題となります。スマート遊技機(スマパチ・スマスロ)は、既に高い収益性と若年層への訴求力を示しており、AI活用やキャッシュレス化といった進化も業界のデジタル化を推進するでしょう。
パチンコ業界の今後は、単に「衰退」という一言で片付けられるものではなく、これらの厳しい現状認識の上に立ち、変化に柔軟に適応し、信頼を再構築していくことで、10年後を見据えた新たな成長の道を模索していくことになります。